高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
もぐら庵の一期一印
金井訓志・安達博文
クラウディア・デモンテ
森田りえ子VS佐々木豊
川邉耕一
増田常徳VS佐々木豊
内山徹
小林孝亘
束芋VS佐々木豊
吉武研司
北川宏人
伊藤雅史VS佐々木豊
岡村桂三郎×河嶋淳司
原崇浩VS佐々木豊
泉谷淑夫
間島秀徳
町田久美VS佐々木豊
園家誠二
諏訪敦×やなぎみわ
中山忠彦VS佐々木豊
森村泰昌
佐野紀満
絹谷幸二VS佐々木豊
平野薫
長沢明
ミヤケマイ
奥村美佳
入江明日香
松永賢
坂本佳子
西村亨
秋元雄史
久野和洋VS土屋禮一
池田学
三瀬夏之介
佐藤俊介
秋山祐徳太子
林アメリー
マコト・フジムラ
深沢軍治
木津文哉
杉浦康益
上條陽子
山口晃vs佐々木豊
山田まほ
中堀慎治


'Round About


第52回 ミヤケマイ

※画像はクリックすると拡大画像をひらきます。   
●ミヤケさん独特の表装のお話しを。
ミヤケ表具は、色々な素材が使えます、布とか和紙とか、動物の角とか、それら全部が調和しあって、それぞれお互いが相手を引き立てながら本画を中心とした一つの物語的小宇宙になっていくのが凄く好きです。現実的な面でも表具は、大きな作品どんどん作っていくと、作品をヨメに出すほうも、ヨメにもらっていただく側でもいづれ、スペースがなくなっていきます。軸だと巻いてしまえば、蛍光管1本くらいになるので、日本的空間にには好都合です。また季節や客人による架け替えが出来る点も感覚的に作品との生活かなったもののように感じます。表具を知る為に、職人さんに教わって、もちろん貼るのは出来ないので、布のあつらえとかどういう寸法でやるとか、教わりながらやってきました。作品全部の表具を私がデザインし、布も自分で探してきます。本画が良くても表装が嫌いなら本当にそれを自分は掛けたいのかといつも自問自答してます。

●あくまでもミヤケさんのスタイル、テイストではありますが、本当に思うんですが、表装ってスタイルを問題提起してるっていうのはありますよね?
ミヤケそれは多少あります。和紙は日本の湿度に合ってまっすぐのびるんです。なのでがんがんにエアコンかけてる部屋あんまり好きじゃないんです。表具を家に掛ける様になると天然の通風開口が欲しくなるはずなんです。そう考えると実は人間にも環境にも優しい媒体なのかな?思ってるんです。ものすごーく小さな世直しのきっかけになったらいいなあと、、、笑。 もの凄く小さな一歩ですけど。
●ところで、海外にしばらく行かれる計画とか、海外に何か期待してる事はありますか?
ミヤケパリの手工業が大好きで、レースとか刺繍とか、表具に使えそうな布を集めてこようと。パリは手仕事を国家政策で、職人の擁護をしてるので、色んなものが残ってるのかなと思って、日本の伝統工芸に近いものを感じるので、見てきたいなと思ってます。ニューヨークの方は日本美術を勉強しに、変な話ですが、日本美術が西洋からどう捉えられているのかを見てみたいなと。私達が思ってる日本美術と、もしかしたらずれがあるのかもしれないし、ないのかもしれないし、そこら辺を知りたいです。外国の方がどういうものに反応するのかとか、どういう観点で、この人は外人なのに日本美術に魅入られるのかとか、何がどうなのか知りたいなと。
 
●しばらく作家生活にピリオドを打つ?
ミヤケ順当にきて、何でこんないい時に1年休むんだっておしかりを受けたんですが、真面目な性格なので、あまり仕事が断れなかったり、自分でどこに行きたいのかとか考えずに作家活動に入ってしまって、作家になりたくてなる人もいらっしゃると思うんですが、私はそうじゃなかったので。
 目の前の事をまず一生懸命やるだけで、本当に目の前のものだけを消化して、わらしべ長者の様ないきあたりばったりできてしまいまして、本当にこれでいいのだろうか?という疑問もあったり、ここ3、4年は休みがまったくとれなくなっていたりもして 、アウトプットをもの凄い勢いでしなきゃいけないので、インプットする時間が削られていってるのを気にしてます。例えば劇を観に行ったりってプラベートな時間から作品ににじみ出てくるものがあると思うのですが、それがないから作れないわけじゃないけど、もう少しあってもいいかなと、、、今の制作スタイルでいいのか、こういう生き方をしたいのかって言われたら、確かに微妙でもう少しバランスよく出来ないものかと思います。
●作家の時間、自分の時間って分けられない?
ミヤケ全然出来てないです。出来ないというかしなくていいと自分はおもっているみたいで、公私が別れていなくてもそれがストレスにあまり私にはならないから。世の中の全てのもののように自分の仕事と人生はコインの裏表であるというあきらめが嫌いではないのです。プライベートでする事も仕事に反映される、そういう無駄がないというか、逃げ場のない生き方のほうが元々好きなんですね。

●生き方として?、作家として?
ミヤケ本人が居心地よく感じてないものは、最終的には積もり積もるといいことないんじゃないかって。本来自分が持ってたペースはこんな新幹線みたいなんじゃないだろうなって。もっと鈍行で、窓から、あーあそこに美味しそうなうどん屋さんがあるとか、お花が見えたりとか、もうちょっとはっきりものを丁寧に見られる、っていう方がいい様な気がしてはいます。制作のペースもきちきちじゃなくて、寝かしてみたりも重要じゃないかと。休むと私達は自営業なので、収入がなくなって困るよって言われてるので、行ってみないと分からないですけど、少し考えたいと思います。

●制作は?
ミヤケまったくやらないつもりなんです。むろん絵は描くかもしれないですが、発表はしないで、基本的にはなるべく絵も描かない様に努力してみようと。

●ミヤケさんが帰ってきて、変化というか。「記憶」という意味では1年間の蓄積が生まれますが。
ミヤケどうします?ユトリロみたいな絵を描き始めたら、、、笑。
 
(2008.5 「The House- 現代アートの住み心地」展にて取材)  

 

ミヤケマイ
2001年から作家活動を開始。Bunkamuraギャラリー(渋谷)、村越画廊(銀座)、ギャラリー小暮(神保町)をはじめとした画廊活動のみならず、書籍の装画等で活躍。2005年以降、水戸芸術館(茨城)、世田谷美術館などでの個展・企画展の他、アートフェアー東京、東京コンテンポラリーアートフェアでの作品展示等、活動の幅を広げる。2007年、メゾンエルメス(銀座)のウィンドーディスプレイ「雨奇晴好」を担当。また、シャネル・ネクサス・ホール(銀座)にて「現代アーティストたちによるLeMonde de Coco -ココの世界」のグループ展に参加。日本人本来が持つ感覚に根ざしながら伝統的なフィールドにとどまらず、過去の洒落・エスプリを現代に翻訳し直した作品は、年々その注目度が高まっている。
 

 

<展覧会歴>
2005 「個展」アートフェア東京 '05(ギャラリー小暮ブー ス)
2005  /東京国際フォーラム(有楽町)
2005 「クリテリオム 65」/水戸芸術館 現代美術 ギャラリー第9室(茨城)
2006 「ハルジタク」東京コンテンポラリーアートフェア(村越 画廊ブース)
2006  /東京美術倶楽部(新橋)
2006 「サクラサク」/BALS STORE unwrap(目黒)
2006 「INSIDE OUT」/And A(梅田・横浜・福岡)
2006 グループ展「トウメイ人間」/ギャラリー小暮(神保町)
2006 「おそろい展」/NIKIギャラリー 册(九段下)
2006-2007 「在る晴れた日」/Bunkamura ギャラリー(渋谷)
2007 グループ展「江戸意匠|MAISTER MEETS DESIGNER Vol. 1『床の間から日常へ』」
2007  /ギャラリー ルベイン(西麻布)
2007 「LUNA PARK」アートフェア東京 '07(村越 画廊ブース)
2007  /東京国際フォーラム(有楽町)
2007 ウィンドーディスプレイ「雨奇晴好」/メゾンエルメス(銀座)
2007 「星ニ願イヲ」/sake 鏡花(赤坂)
2007 グループ展「現代アーティストたちによるLe Monde de Coco -ココの世界」
2007  /シャネル・ネクサス・ホール(銀座)
2007 グループ展「ハコ人間」/ギャラリー小暮(神保町)
2007 グループ展「EDO-ISHO GINZA HANDS EXHIBITION」/銀座ハンズ
2008 「夜の美術館と現代アート茶会」/掛川二の丸美術館(静岡)作品「初まり始まり」を寄託
2008 二人展「ミヤケマイ×三輪途道 勿忘草」アートフェア東京 '07(増保美術ブース)
2008  /東京国際フォーラム(有楽町)
2008 グループ展「団・DANS Exh. No.4 The House- 現代アートの住み心地」/(西麻布)
2008 「ココでないドコか」/(高島屋 新宿、日本橋、京都、横浜を巡回)
 
  

 

●information
「ミヤケマイ展−ココでないドコか−」
今展は初めての百貨店での巡回個展。高島屋の協力により、新宿店、東京店、京都店、横浜店と巡回する。新作30点や村瀬治兵衛氏とのコラボレーションによる風炉先屏風をはじめ、変わった屏風3点も展示する。



2008年6月4日(水)〜6月17日(火)新宿高島屋10階美術画廊
2008年*6月15日(日)午後2時〜ミヤケマイトークショウ
2008年6月25日(水)〜7月1日(火)高島屋東京店6階美術画廊
2008年7月9日(水)〜7月15日(火)高島屋京都店6階美術画廊
2008年8月13日(水)〜8月19日(火)高島屋横浜店7階美術画廊

■この個展に合わせて以下も展示、販売。
・高島屋東京店とのコラボレーションでミヤケマイがデザインした浴衣<数量限定>
                              (全店舗に御用意)
・籠バック(遊中川さんの御協力にて作製)<数量限定>
 http://www.yu-nakagawa.co.jp/yu/shop/head.html
・新作 風呂敷
・ポストカード
・懐紙、懐紙袋<数量限定>


■過去三年間の活動を集約した、2冊目の作品集「ココでないドコか」も発売。(芸術新聞社刊)