高橋美江 絵地図師・散歩屋
橋爪紳也 瀬戸内海モダニズム周遊
山本タカト 山羊のいる庭で
大森さわこ ミニシアター再訪
もぐら庵の一期一印
坂崎重盛 粋人粋筆探訪
外山滋比古 人間距離の美学
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
新刊・旧刊「絵のある」岩波文庫を楽しむ 文・坂崎重盛
 


「おかむら君は相変わらずだね。」
 アート・トップのシゲノさんは、大学の教員展のパーティー会場で、僕を見かけると、近付いて来た。少し長めの白髪と高額そうなスーツをビシッと決めている。一見、なかなかの紳士である。
「なあ、おかむら君。」
シゲノさんは、僕にこともなげに尋ねて来た。
「前にアート・トップで、ノッペラボーな何とかというの、書いてもらったことあったんじゃなかったっけな。」

「ああ、『ノッペラボーな景色について』ていうやつですよね。」
「それそれそれ、そういうのまた書いてよ。うちのホームページ「アートアクセス」で、2週間に1回ぐらいでいいんだから。」
「えっ、でも俺、そんなに文章書けっかな?絵を描くんじゃなくて文章でしょ?ううーん、やっぱ無理!ムリ、ムリ!」
「いやいや、軽いんでいいんだ、かる〜いんで。ときどき重くしてくれれば。日記みたいんで。サイトの中に読むところ作りたいだけなんだよ。」
「軽いんですか?ときどき重く?」

「たとえば、おかむら君。山形の東北芸術工科大学だっけ?先生やりに、埼玉県の越生(オゴセと読みます。)から、毎週通ってるんだろ、新幹線で。」
「車で、通ってるんですけど。」
「ああ、それは大変だね。まあまあ、それはそうと、チョット考えといてよ。車の中でも、いろいろ考えることもあるだろう。気楽に書いてくれれば、なんでもいんだから。」
「なんでもいいんですか?」
「でも、やっぱり、チョット、大変かもね。」
「やっぱ、大変ですよね。」

 と、まぁ、だいたいこんな感じで、シゲノさんと話をしていたのですが、気が付いた時には、なんだか、どういうわけか、書くことになっていました。俺もつくづくドジな奴です。おまけに無償の行為なのですから。
 こんなクダラナイ文章を書きながら、「あぁ〜、やっぱ、止めときゃよかった!」と、 今も、25パーセントぐらいは思ってます。もうすぐ、個展が始まるのに。作品出来てないのに。
ヤバいよ!俺、なにやってんだろ!!




※インフォメーション
 教え子たちの卒業・修了展が、横浜赤レンガ倉庫であります。ぜひご覧下さい。
東北芸術工科大学芸術学部美術科日本画コース 卒業/修了制作横浜展


2004年個展案内状

悲しいかな、真実は
シゲノのスーツはすべて「よりどり2着で…」のアオキ



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