高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
坂崎重盛 新刊・旧刊「絵のある」岩波文庫を楽しむ
橋爪紳也 瀬戸内海モダニズム周遊
外山滋比古 人間距離の美学
もぐら庵の一期一印
 もうすっかり春です。山形の雪は融け、越生の梅も終わり、桜の季節になりました。
 この冬から春にかけて、僕にとっては少し光栄過ぎる賞を、二つもいただいてしまったことを、ここでご報告しておかなければならないな、と思います。
 一つはタカシマヤ美術賞、もう一つは芸術選奨文部科学大臣新人賞というものです。どちらも大きな賞です。たて続けにこのような大きな賞をもらってしまって、正直言って、本人が驚いています。
 賞というものは、ここ10数年もらった事は無かったし、タカシマヤ美術賞にいたっては、これまでに三度推薦されたのですが、いつもダメでした。今回で四回目だったのですが、もう絶対ダメ、僕がこの賞をもらう事は有り得ない。推薦委員の先生には推薦してくれて本当にありがたい、けど、こんな僕のことを選んでしまって、申し訳ない。




「ほんとのことを白状すると、僕はタカシマヤ美術賞なんて、立派な賞はもらえることの無い人なんです、ゴメンナサイ。」という気持ちでいっぱいでした。
 実は、もし今度また誰かが推薦してくれたとしたら、
「もっと受賞できそうな人を選んで下さい。」と言って、お断りしようと決心していたのです。
 ですから、タカシマヤ美術賞の受賞の知らせを受けた時は、あまりに意外で本当に驚きました。そしてさらに芸術選奨文部科学大臣新人賞という、レベルがあまりに高すぎて、今までに聞いたような気がすることはあっても、はっきり認識したことのない賞の受賞のことは、最初は何がなんだか良く理解できないでいました。

文部科学大臣から表賞状をもらいました。
©Website gaden
 
彫刻家の戸谷成雄さんとパーティー会場で。
戸谷さんといっしょの受賞式で、
僕はとてもウレシイ。
(戸谷さんはもちろん新人賞ではありませんよ、
本賞の方ですよ。)
©Website gaden


珍しい僕のスーツ姿です。かなり緊張してます。
でっかい花が、へんですね〜。
©Website gaden
 そのうち、たくさんの祝電が届き、お祝いの花束が届き、受賞式では、僕の隣の席に、僕達のアイドル小泉今日子さん(美しい、感じの良さそうな女性でした。)が座っていたり、こういうことはすべて、僕の日常生活ではありえない出来事なので、「これはやっぱり、とんでもない事だったのだ。」と、認識を深めているところなのです。
 僕としては、なんとかここまで、好きな絵を好きなように絵を描くことができて、もうそれだけで、すでに、じゅうぶん幸運なことだと思って、いつも身近にいて支えてくれている優しい人々に、感謝の気持ちでいっぱいなのですが、そのうえさらに、このようなものをいただくのは、身にあまる光栄というものです。しかし、僕以外の受賞者の方々は、もちろん高名な方々ばかりですが、その受賞の対象となった内容が、けっして派手ではない、総じて、どちらかと言うと地味で真面目な印象を受けました。真摯な努力が無ければ得られない、信念と謙虚さがなければ決して得る事のない成果に対して贈られているような気がしました。そういった人々の間に僕の名前を入れてくれた人がいた、そのことが本当にありがたく、うれしく感じています。
 「やっぱり、もうちょっと、がんばらないと。」責任を感じて、すこし緊張することでもあります。

 それから、今「超」日本画宣言という展覧会を練馬区立美術館でやってます。4月3日にギャラリートーク、4月4日にワークショップを私めがやります。よかったらどうぞ。
     


●インフォメーション
練馬区立美術館
 『「超」日本画宣言』 開催中〜4月11日(日)まで

●ギャラリートーク
 4月3日(土)午後2時より
●出品作家による公開制作 岡村桂三郎
 4月4日(日)午前・午後(屋外制作) 

 

© Copyright 2003 Geijutsu Shinbunsha.All rights reserved.