高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
坂崎重盛 新刊・旧刊「絵のある」岩波文庫を楽しむ
橋爪紳也 瀬戸内海モダニズム周遊
外山滋比古 人間距離の美学
もぐら庵の一期一印
 実を言うと、単に絵を描くという事と同じくらいに、いや、もしかすると、それ以上に、日常的な生活の積み重ねは、とても大切なことなのではないかと感じています。日常的であたりまえな生活、それらこそ、僕自身を少しずつ変化させ、常に新しい自分自身を生成している重要な要因であるように感じているのです。そして、そういった体験に基づいた感覚が、あらゆる表現上の全ての価値の基準になると考えています。そして更に、その地点から新しくイメージを生み出していくこと、そのイメージを具体化していくことが、今の僕の仕事なのです。いや、正直に白状すると、作品を如何に描くかなんてことより、僕自身が如何に生きていくかという事の方が、遥かに大事な事であると信じていますし、表面的な作品の良し悪しよりも、作品の裏側に流れているはずの何かによってのみ、結局、その作品の真の価値や魅力は決まってくるのだとも思っています。

 今日は農業の話しでもしようと思っていたのに、なんだか重苦しい感じで文章を書き始めてしまいました。ごめん、ごめん。要するに僕は作品を制作するために、作品を制作する以外のことも、かなり重要な要素であると思っているということなのです。そして、僕の日常生活の中で、特に農業の存在は特殊な魅力を放ち、最も多くのインスピレーションを与え続けてくれている事の一つになっています。いやいや、これを農業とよんで良いのか・・・、僕は埼玉の越生(おごせと読みます)の自宅の近所で、同じ町に住む友人で作家の竹内啓君と一緒に、ここ数年米を作る努力をしています、と言っておいたほうが良いかもしれません。
 
竹内君が、草刈りをしてます。彼の後ろ左半分の原っぱは、恐ろしい事に、実は僕達のたんぼなのですねー。いや〜、大変でした!
原野のような田圃を耕す、竹内君です。彼はこう見えても、かなり名の通っ た作家なのですよ。
※クリックすると拡大画像を表示します。
 
     
 
田植えをしているところ。美術関係の人が多いのですが、沢山の人が応援に来てくれました。中にはミャンマー?だったかな〜?の留学生もいました。
見ての通り、全部手植えです。頑張ってますねー。
 
     
 東京生まれで東京育ちの何も知らなかった僕が、越生という田舎町に引っ越してばかりの頃、竹内君に誘われるままに、面白そうなので、気軽に始めてしまったこの米作りは、「田に力と書いて男という文字になる」ということを改めて思い知らされる程、肉体的にはかなりハードな作業でした。しかし、精神的なストレスは全く感じられないことは、不思議なことでもあります。実際、ドロンコになって自分達が食するための米を作るということは、妙に喜びに満ちた作業なのです。土を起こし、水を引き、原野のようだった土地を、だんだんと田圃に姿を変えさせて、育ててきた苗を植えていく。そういった過程は、どこか作品を制作するのに似ているような気がいつもしているのですが、田植えを終えて、田に水を張り、そこに裏山の姿が映った時、「これって、ランドアートだよね。」と、竹内君や田植えを手伝ってくれた皆とも語り合ったりしているのです。
 
お昼の時間です。デッカイ鍋で、豚汁を作りました。ビールも飲んじゃいました。
お昼のご馳走です。僕のかみさんと竹内君の奥さんがタッグを組んでつくりました。
 
     
 僕達の米作りは、実は目指しているものがあって、普通の米作りとはちょっとばかり違います。その為にいろいろと試行錯誤し、悪戦苦闘しているのです。そしてこれからが、話としても本番で面白いところなのですが、でもまぁ、長い長いお話しになってしまいそうで、それは次の機会にということで、今日のところはこのへんで・・・。
 
お昼を食べてます。近所の子供達や犬も一緒でした。
※クリックすると拡大画像を表示します。
最後まで残って働いてくれた人々で、記念撮影。芸大の助手達や、女子美出身の「美人塔」の女の子達、武蔵美の若きホープ達、それと僕達の奥様です。労働の後は、皆で温泉へ 行き、一杯やって、暗くなってから、ホタル鑑賞などもしたりしました。
※クリックすると拡大画像を表示します。


 
   
 
☆★ アートアクセスからのお知らせ ★☆
第4回「岡村桂三郎ひとりごと」コーナー、「私の日本美術ベストイレブン」応募に多大のご協力をいただきありがとうございました。発表はプレゼント品の発送をもって代えさせていただきます。
そこで、ご応募いただいた中から、現役草サッカー選手M氏の「日本美術ベストイレブン」、
また、日本チームに対抗する「西洋美術選抜イレブン」を投稿してきたE氏のメンバー表を発表させていただきます。


 
 


© Copyright 2003 Geijutsu Shinbunsha.All rights reserved.