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もぐら庵の一期一印

越生町では、今年も梅の季節がやってきました。「春がやって来たんだなぁ〜」と思うと、なんだかウキウキしてきます。
 
越生の梅林 
*画像をクリックすると拡大画面が開きます。
 今年もなんとか個展を開くことができて、よかったし〜・・・・。とホッとしていると気がゆるんだのか、インフルエンザにかかってしまいました。これも、まわりの人々に迷惑をまき散らしながら、展覧会をやってしまった者への報いなのかも、と僕はあえて甘んじて、そのツグナイのために、しばらく高熱にうなされ、寝込んでいました。そして、しつこい熱もそろそろ下がってきたころ、実は個展の搬入の前から、あることで眼が痛くて気にかかっていたのですが(なぜ痛いのかは、話が長くなり過ぎて、しかも血なまぐさい話なのでここでは割愛します。知りたい人は、今度、僕に会った時、直接聞いて下さい)、その痛みがなかなか退かないので、「医者にかかりついでだ。眼科にも行ってみちゃおう〜」と思ってしまったのでした。 
   
   《個展風景》 *画像をクリックすると拡大画面が開きます。  

   僕は近所の眼科へ行きました。断っておきますが、この先生、ここらへんでは、腕のよい名医なのです。先生は、僕の眼球が大幅に拡大されて映っているモニターをにらみながら、説明してくれました。
 「はは〜、異物がありますね〜。角膜にくい込んで、ほら、涙がこの部分、それて流れているでしょ」
 「とりますか?針で、チョイとやれば、角膜も少し剥ぐことになりますが、すぐとれますよ。少し痛みがあるかもしれませんが、その痛みもすぐにとれますよ(かんたん、かんたん)」
 実は、僕、極度の尖端恐怖症なんです。その僕の眼に、こともあろうに、あのツンツン尖った『針』を触れさせるなんて、とんでもない!!恐怖と戦慄が全身を駆け巡り、叫び出しそうです。しかし、他に選択の余地は残されていないような気がするし、この場合、男らしく、「えーい、どーにでもしやがれィ〜!こんちくしょー!」とばかりに、ケツをまくるしか道はないものと覚悟しました。
 「あっ・・、お、お願いします」と、しかし、意外に小さな声しか出なかったのは少し残念でした。
 「じゃあ、いきますよ」と、先生は静かに言った。僕はその場で掴めるモノを、何でもいいから握りしめました。
 「あれ・・・・・・?」その時、先生は小さな声だったけど、確かにそう言いました。
 「ああ、もう一度みてみましょう・・・・。あああ、角膜がちゃんと眼に付いていなかったようですね〜・・・。ずいぶん剥がれちゃいました。・・・でも、だいじょうぶ、すぐに直りますから」
 
 
     
   

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