高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
もぐら庵の一期一印

代表の岡崎こゆさん(右)と横尾龍彦先生
見ごろ聞きごろスーパーショット!!
第4回目は、コンテンポラル・アートを中心に扱う、東京・京橋のアートスペース羅針盤の代表岡崎こゆさん。京橋に画廊を開いて5年。教員、編集者と多彩な経験を経て画廊代表になり、若手作家からも頼れる先生のような岡崎さんに、開廊5周年記念横尾龍彦展開催中のギャラリーにおじゃましてインタビューしました。
●ちょうど5周年。画廊(アートスペース羅針盤)を5年やっていかがですか。

岡崎:5年やって…。やっと土台が出来てきたって感じですね。楽しかったです。大変なのが2〜3年。で、だんだんここに集まってくる作家さんのつながりがどんどん拡がっていって。

●ほとんど毎週展覧会を開催してますよね。お休みって何をされてますか。

岡崎:お休みは、もうだいたい決まってて、日曜日お休みが取れる時は、昼頃に起き出して。まずプールに行って、5時からシネスイッチ銀座あたりで映画を観て、それでひとりで飲んで帰る(笑)。

●じゃあ、お休みの時はだいたい銀座界隈に出没していると。

岡崎:銀座のスポーツクラブに行って泳いで、その後に映画を観るというコースですね。

●休日でないとできないですもんね。さて、京橋という場所はどうですか。立地条件としては。


岡崎:立地条件としては、やっぱり画廊をどこで始めるかっていう時に、これからは京橋が中心になるだろうなって5年前にそう思って、今思ったとおりになりましたね。

●ここ2年ほどでも、この(画廊の面した)通りに何軒か移転・新規開廊してますもんね。

岡崎:そうですね。(画廊開廊当時は)ギャラリー山口さんしかなかったんですけど、たまたまこの(ギャラリー山口の)2階が空いてて。あちこちビルを探していたんですけど、ここのスペースがスクエアで非常にいいのと、駅(地下鉄京橋駅)からも近いし、まあ山口さんという名の知れた画廊なのでその2階だったら覚えていただけるかなあと思って。で、開廊して次の年くらいからどんどん増えましたよね。やっぱり、ここを中心にしようと思ったんだけど、実際にここにきて結構そうなってきましたね。

●勘がはたらいた?

岡崎:うん、勘というかね、人の流れ、街の雰囲気とか。やっぱり、どんな人に見に来てもらいたいかっていうことを考えた時に、京橋だと広告業界の人とか、編集者とかもけっこう来易い場所ですしね。

●ところで、アートスペース羅針盤は画廊の外の活動も盛んですが。


岡崎:えと、今年の外の活動は、一番力をいれているのがエプソンと共同でやっている企画展で、5月に文化学院で「デジタルお絵かき教室」っていうのを企画してます。それは、今年文化学院に〈デジタル科〉が出来て、その宣伝を兼ねて、子どもたちや地域の人たちをよんでエプソンのパソコンやプリンタなどを、子どもたちにいじってもらって作品を作り、展示するという企画をします。GW連休中、3日間。

●じゃ、お休みないじゃないですか(笑)。

岡崎:休みないですね(笑)。その時私はそこ(文化学院)に居るわけですね。「デジタルお絵かき教室」の指導員、スタッフをしていますね。

●去年も住宅展示場での展覧会や千葉のスーパーでの展覧会の開催もしていましたよね。

岡崎:あと、10月に大きいところでは、山梨県河口湖にある美術館で小品展をやります。そして年末にクリスマスアート展をやって今年は終わりですね。

 

●岡崎さんは、いろいろなネットワークをもっているところがすごい!いろいろな方−企業へのつながり、個人でもそうですし。その辺の関係はどうやってできたのですか。


岡崎:だいたい羅針盤(画廊)に来た人と話しているうちに、その人のお話しに興味をもって、いろんな人とつながっていって。実際に、「あ、おもしろいな」と思うと話しを聞くだけじゃなくて、その人の職場に行ってみたりとか、その人のやっている活動を見に行ってみたりとか。自分で足を運ぶっていうことが、以外につながりを拡げていくきっかけになっていると思うんですよね。

●じゃ、エプソンだったら(仕事を見に)京都に行っちゃったりとか!

岡崎:そうですね(笑)。エプソンだと本社にも何回か行ったりとか、AXISギャラリーに行ったりとか。やっぱり(画廊に)来てもらったんだから、相手のやっている活動を見に行ったり、その(興味をもった)人とコンタクトをとったりとか、そういうことはマメにやってますね。自分から行動を起こして、また今度ご飯食べましょうとか、興味あることだったらそれについて聞かせて欲しいのでもう一回話しをしに行っていいですかとか、そういうこちらからはたらきかける積極性っていうのがなければその場で終わっちゃいますから。だから、自然といえば自然ですね。好奇心のままに人とつきあっていったらこうなったという感じですね(笑)。

●さて、ここでは若い作家さんの展覧会が多いですけど、若い作家ってどうですか。


岡崎:うちは若手が多いんですよね。楽しいですね。(画廊が)若い作家の放課後みたいになってますね(笑)。放課後のコミュニティにもなってるし。実際、夜7時に画廊は閉めてますけど、(夜7時前くらいに)今から行ってもいいですかって作家から電話があったら待ってるし、それから食事に行ったりしますし。若い作家さんは、この頃、どういう活動をしていけばいいのかとか、自分の絵をどう思うかって率直に聞きたいみたいなんですね。だから、そういうときにフランクに話しができる。あるいはここでいろんな人を紹介してあげる。もっとその人に必要な情報を与えてあげたりとか。まあ、これはやりすぎなんですけど、仕事の紹介もしてあげる(笑)。仕事も何人か斡旋してあげたり、ここが面接会場になったり、(就職)論文の書き方とまではいかないけど、面接の仕方を教えてあげたりもしたことあるし。よけいやりすぎですけど(笑)。

●岡崎さんはかつて学校の教員やってましたしね。


岡崎:学校の先生の時に、就職の相談などもしてたので、ついね。彼らを見てると不安になってね、この人たちは本当にやっていける人たちなのかなっていう。

●そこで、「先生」が出てきてしまうわけですね(笑)。

岡崎:そうですね(笑)。ちゃんと自立して、さらに制作もしていける環境をつくるためにはどうしたいいかを一緒に考えたりもしますね。

●そういった点では若い作家を育てないといけないですし、今は、発表の場はあるけどその後どうしたらいいかっていう…。

岡崎:そう、フォローしてあげてね。次ぎの方向を、一度発表した後に、その作家が一番いい方法で作品を制作していけるような方向を見つけてあげて、そういう協力ができる、手助けをしたいと思っています。

 

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