言い訳と自慢めきますが、今年の2月が過ぎてから信じられないくらいタフな日々が続いて……。
長年のテーマであったステッキ蔵出し本が嬉しくも刊行されたのはいいのですが、それに伴うパブリシティ(NHKのひるまえほっとニュースや新聞、雑誌の取材他)。加えて東京新聞サンデー版での「あなたと会う昼さがり」の連載開始、そして一番、時間と体力を奪われたのがBSジャパンで4月から始まることとなった「酒とつまみと男と女」のレギュラー出演(ただし雑誌「古典酒場」の編集長・倉嶋紀和子さんとの隔週出演)の取りだめ。

◉BSジャパン「酒とつまみと男と女」出演中。
高橋源一郎さん、山崎樹範さんと。
このテレビ出演なるものが、ロケハンと出演当日は午後の2時くらいから始まって、終るのが夜の10時過ぎ。その間店を3〜4軒回って、当然、ずっとグビグビ飲んでいるんですから。ちなみに昨日は、午後2時45分、北区のJR東十条駅で待ち合わせ。ゲストは文壇の貴公子といわれた島田雅彦氏。レギュラーの聞き上手役は若き人気俳優の山崎樹範さん。(もうひとりのレギュラー聞き上手役は21人抜きの大抜擢で真打ちとなった春風亭一之輔師匠)。
で、十条の富士神社で世界遺産の"Mt.FUJIミニ"にお参りの後、勇躍、もつ焼きの名店中の名店、居酒屋通でこの店の名を知らなければモグリだろうといわれる「埼玉屋」へ。
この店のもつはどれも、信じられないほどの美味なのだが、主(あるじ)がコワモテ(?)で、ビジターとしては、かなり緊張する。しかし、昨日は常連の島田氏がいるので、心強い。串七本と煮込み、とサラダを味わいつつレモンハイ(これがまた絶品!)を四杯おかわり。
エンジンがかかったところで、「埼玉屋」を後にして、日本酒十四代が十数種類もあるという割烹料理店「あら川」へ。ここも美味しかったなあ。日本酒はもちろん、車海老のてんぷら、と肝の塩漬け、と季節がら水揚げしたばかりの桜えびの唐揚げetc。もちろん、島田さん、山崎さんと食べ物や男女にまつわる会話を楽しみつつ。
さらにもう一軒、島田さんがスコッチ好き(ウォッカやラム、ワイン、チェコ・ビールなんでもござれという噂もある)ということで、十条で戦後(1973年)喫茶店として開店、今の息子さんの代になってからバーになったという「アルビオンズバー」へ。
ここでは、極めつけのチーズケーキをつまみに、スモーキーなラフロイグを数種飲みくらべ。酔眼ながらボトルのラベルを見たら49.5°という表示が! さすがにご機嫌となって、最後にアイリッシュ・ビールのキルケニー(あれっ、ちがったかな、日本の地ビールだったかもしれない、とにかく)締め。皆さんとお別れしたのが、夜の10時半。
で、ここでまっすぐ帰ればいいのですが、いつものことながら、出演の後はクールダウンと称して、出演者と一緒かひとりでどこかの店に寄る。昨日は、撮影で十条散歩の途中、これまた十条名物、和菓子の「草月」で人気のどら焼き「黒松」20個を入手している(写真は撮り忘れました)。となると神保町のあんこ好きのバー「燭台」のK子ちゃんのところへ届けなければならないというミッションがある。
大人の階段のぼって店のドアを開けると、「おやっ」というか、「案のじょう」というか、多くの名番組を作っているTVプロダクション「T」のOプロデューサーがカウンターに座っているではないですか。毎週火曜日は、ここで「酒つま」の鑑賞会をしているらしい。
お土産の「黒松」を配ったあと、キャブ・キャロウェイの一発芸(?)「ミニー・ザ・ムーチャー」のビデオなどを見ながらスコッチのハイボール2杯と赤ワイン1杯。で、さらに帰途、小腹がすいたので、船橋の寿司店でネギトロ巻き、塩辛巻きで一杯。音浴ギャラリー・バー「猿風呂」にいた常連のTo社長が付き合ってくれました。というわけで、ご帰還が2時半ぐらいだったかしら。
で、今日は朝の8時から、事務所近くの「サンマルク」で東京新聞のコラムを書き上げ、昼食(二八そば、生姜汁もり)のあと、先月分の経費の精算(十数万円の持ち出し)、そして、今、この、ごぶさたしっぱなしだった「甘い生活」という原稿書きの、導入へという、言い訳を、くどくどと書いているというありさま。
つまり、一回転向したはずの、極左泥酔主義へ逆戻りの日々を送っている、というご報告なのでした。しかし、「甘い生活」も捨てたわけでは全然ない。以下をご覧下さい。

◉向島「梅鉢屋」の最中。

◉原宿「瑞穂」の豆大福。

◉神楽坂の人気店、老舗「五十鈴」の甘露甘納豆と季節の和菓子。

◉船橋「たまごやとよまる」の玉子型の器のたまごプリン。
となりになぜか、バルテュスのチケットが。
となりになぜか、バルテュスのチケットが。

◉銀座「シェリークラブ」でシェリーを飲んでたら、「試食してみて下さい」とサービスしてくれたシェリーチョコレート。
ケータイをチェックしてみると、この間、向島「梅鉢屋」の最中、原宿「瑞穂」の名物・豆大福、神楽坂の老舗「五十鈴」の甘露甘納豆、船橋「たまごやとよまる」のたまごプリン(船橋駅近く「猿風呂」のマスターから、シゲちゃん先生、ここのプリン知ってた? といただいた)、銀座「シェリークラブ」のシェリーチョコレートなどなどと、甘物系もちゃんと走り込んではいる。
しかも、これらはメインのモンブラン食べ比べロングランとは別に、なにかのついでで味わって、写真に取り忘れなかったものだけなのだ。
さて、本題だ。前回のつづき、まだまだモンブランへ。三連発でいく。前回、ちょっとふれた自由が丘「モンブラン」踏破、次が神田「柏水堂」の小ぶりモンブラン、そして、銀座の伝説の喫茶店「カフェーパウリスタ」の型変わりモンブラン。
で、まずは自由が丘「モンブラン」のモンブラン。店内は、甘い甘い東郷青児の美女の絵画が壁面を飾る。捨翁(ステッキ翁、つまりぼく)ひとりで席に着くのは気がひける。知人の女性に同伴をお願いする。ぼくは当然モンブラン、彼女はアイスモンブラン。

◉東郷青児の絵が店内のあちこちに。
(と、ここまで書いて)、まずい! 神楽坂で作家の嵐山光三郎さんと飲む約束の時間だ。今日は黒堀小路の割烹「越野」。ゲストが元マガジンハウス「鳩よ!」の編集長・大島一洋氏。一洋ちゃんの驚愕の介護日誌が小学館から『介護はつらいよ』と題して刊行。それを引っ下げて、介護のために帰っていた故郷の中津川から凱旋上京というわけ。「越野」での刊行祝いのあと、昨日「燭台」で会ったO氏と「トキオカ」で合流。
明日もロケ(立石で元世界チャンピオンの内藤大助さんと。この回の聞き上手は春風亭一之輔さん)なので、この2軒で切り上げるつもり。この後のモンブランの原稿も仕上げなければならないし。 と、途中ではありますが、ここで一旦、筆をおく
(第9回おわり)