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私の賀状を受け取ってから書いているなと思う人も多い。元日が無理ならば、せめて三が日には届いて欲しいものである。また4日や5日に届く人も多い。そんな日はもう会社も始まっていて正月気分ではないだろう。遅い賀状には「あなたがくれたので出します」という気持があからさまで、「本当は迷惑なのです」とさえ感じてしまう。そして賀状を出さない事も礼儀なのだと知るのである。皆が皆、賀状を待っている人ばかりではないだろう。だが「必ず元旦に」といった端から、その人にも賀状を書いている自分がいる。これも書くのが好きだからだろう。また、三が日に届かない人でも「仕事や用事で出すに出せなかったのだろう、この人も大変なんだ」とおかしな同情に変わっていく。
毎年、どれくらい元日に着くのか調べた事がある。元旦に着いたのは賀状に赤ペンで「1」と書く。調べながら「苦労して元日に間に合わせようとせっせと書いているのだな」と自分の姿とダブらせる。そして「2」、「3」と届いた日を書いていく。
時々個展をすると「今年は賀状が来ませんでしたよ」と改めて言われる事がある。「え?」と思うが、楽しみにしている人もいるのかと驚く。届いた賀状の中で「今回で賀状をやめさせていただきます」という報告も来るようになった。年齢的なのか、義理を減らしていくのかは分からないが、来年以降もおそらく多くなっていくだろう。特に筆まめな人だったりすると複雑だ。
三が日が過ぎると、届いた賀状の中からベストテンを選ぶ。この作業は本当に楽しい。私宛の賀状は自慢できるほど素晴らしいものが多い。
その中でいつもベストワンに輝く人は決まっている。映像の仕事をする人で、手作業、センス、品格、情熱……やはり、いい作品を作っている人は賀状にも手を抜かない。こんな力作を見ると、年末から溜まった疲れがだんだん取れて、軽くなっていくようだ。
ただパソコン族もうかうかしていると、メール族が押し寄せてくるような気がしている。今年はメールの賀状も届いた。それには戸惑って何を返していいのやら。賀状はどうなっていくのだろう。手書き派の私としては毎年、賀状のことでは迷いが募っていくのである。
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