そもそも、いまこのコラムを読んで頂いている方の中には、「へー、彫刻家も図面を描くんだぁ」と、まずはそこから意外に思われるかたも多いだろう。
作家によって作り方やモノのとらえ方は十人十色なので一概には言えないけれど、自分の場合は図面は必要、必ず経なければならない必要作業なのである。
そして自分流では図面は必ず実物大で描く。10センチの作品も2メートルの作品も、そう同じように。
なぜかというと、今度その図面をトレーシングペーパーに描き写し、さらに製材した木材にトレースするからだ。建築家や工業デザイナーと違い、この作業にC A D ( キャド )もパソコンも使わない。使うのはカーボン紙だけ。手作業でトレースした図面と木材との間にカーボン紙を挟み、またその上からなぞるのだ。まさにローテクの極み。 この図面は正面図と側面図、または上面図のいずれか2面を描く。2面図なので、大事なことはこのとき各部分の整合性がないといけない。 |