|
 僕の髪の毛が金色になってから、かれこれ11年くらいになる。金色といってもマッキンキンではなく、いわゆるメッシュというやつ。春から夏、暖かくなってくるとメッシュもより金色が増し、秋から冬、肌寒くなってくるとちょっと抑え目のアッシュ系、といった感じでそのつど変化を楽しんでいる。
今ではキンパツ大森暁生も友人知人皆、気にも留めないくらい板に付いたといおうか、見飽きられたといおうか、ともかく馴染んでしまったけれど、最初このメッシュというやつを入れた時は、それはもう、本人にとっては相当なチャレンジだったのだ。 11年前というと、ちょうど「カリスマ美容師」ブームの真っ盛りの頃ではあったが、ブームといってもやはり中心は女性のものであり、男性のカラーはまだまだ一般的ではなかったと思う。しかも当時僕は 25 歳。10 代の頃に “ 茶髪 ” にしていたヤンチャ小僧が「そろそろ就職もあるし黒髪に戻そうか」という年頃である。そこへきていきなり人生初のメッシュを入れたわけだから、当時上司だった籔内先生からは「茶髪の若造」呼ばわりで、同僚にも朝出社するなり 「大森さん一体どうしたんですか??」と心配されるありさま。
「茶髪じゃなくて“カラー”なの」と訴えたところで茶髪は茶髪。 そんな感じだった。
けれど、そもそもなぜ遅咲きのカラーデビューをしたのかというと、これがけっこう生真面目ないきさつなのだ。 |
|