数日後、前の文字を消してしまうために、石に水をかけながらサンドペーパーで磨いてみた。するとどうだろう、ひどい薬品の匂いが立ち込めてきたのだ。これは石でなく樹脂でできたものと分かった。なんということだろう、ニセ物なのだ。石の粉と顔料を固めて作るようだが、よく見ると色がケバケバしい。

「これが本物です」と巧みな売り込みに、日本人をはじめとする観光客がだまされて買っているのだ。たぶん「安くしますョ」などと言われたのだろう。少々お高めのものものを買うという、日本人の特徴を見抜いているのだろうか。本物をこの横に並べたらすぐに分かることだが、ニセ物だけだと一般の人には判断がつかないだろう。目にすることも少ないから尚更だ。
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