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 作るものに迷ってくると「来年の干支を作ろう」となる。
 街で毎年のように干支のものを見かけるが、「飾りたいなあ」というのは少ない。ほとんどが真似目、綺麗なもの、伝統的なもので面白くない。他にあるとしたらコミック的で安っぽいとか、可愛いだけとか、オドロしいとかばかりだ。それはその世界が好きな人がいるので何とも言えない。伝統的な綺麗さは正月を改まりたいという日本人の本能なのだろうか。
 「さあ来年の干支“牛”を作ろう!」牛の特徴は角と鼻とゴツゴツした体。あとはどんな形にしても牛に見えたらいい。この「見える」というのが大事だ。どんなに面白くても、牛に見えないといけない。数年前、描いた牛の絵が面白かったのでそれを陶にできないかと思った。そんな目的ができると陶物づくりも楽しい。絵と陶芸とは材料が違うだけではなく平面と立体との違いがあって立体のほうが難しさがあるが、うまくいくとその方が数倍面白い。

陶物の牛牛の陶印陶物の牛
陶物の牛 今回は『踏ん張って、踏ん張って、思い切り飛び立とうとしている牛』を作ることにした。今の時代には一番マッチしているように思えた。土や釉薬をかえるだけで表情が変わって面白い。ただ陶だけだと寂しいので飾り物をつける。鼻輪とワラの尻尾。鼻輪のついた牛を若い人に見せると「これは何ですか」と質問された。今の人は牛の鼻輪がわからないようだ。尻尾は普通たれ下がっているのだが元気よく上を向いている方が縁起がよさそうだ。こんな牛が玄関に、床の間のお鏡の横に飾ってあると、新年を迎えるのに嬉しいのではないだろうかと一人悦にいる。まあ自己満足だとは思っているのだが・・・。
 陶物はシンプルで楽しいものがいい。土のこと、釉薬のことをもっと詳しく知ると、よりイメージに近いものが出来上がるのだろうが、一年にひと月だけのことだしそう深入りすることもあるまい。世の中「知っているから出来ること、知らないから出来ること」がある。
 これからも釉薬も詳しく知らず、技術も進歩せず、どっぷりつからず、広く浅く…。あまり努力しない方が、私らしいものが出来るのではないかと思っている。



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