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展覧会案内特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」

特別展
「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」


国宝 弥勒如来坐像(部分) 運慶作
鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵 北円堂安置
撮影:佐々木香輔




東京国立博物館 本館特別5室

東京都台東区上野公園13-9
tel.050-5541-8600(ハローダイヤル)
2025年9月9日(火)~2025年11月30日(日)
※月曜、10/14(火)、11/4(火)、11/25(火)休館
9:30~17:00
※入館は閉館の30分前まで
観覧料(当日):一般1,700円 大学生900円 高校生600円
※前売りあり、スペシャルチケットあり。詳細は公式サイトで
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳などを提示
※事前予約不要。混雑時は入場を待つ場合あり
※本券で、会期中観覧当日に限り、東博コレクション展(平常展)も観覧可能
※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生は、当日券700円(200円割引)。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証を提示

展覧会公式サイト:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/unkei2025/
展覧会公式 Instagram:https://www.instagram.com/unkei_2025/

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運慶仏7軀 ( く)による鎌倉期北円堂、奇跡の再現
世界遺産・興福寺 (こうふくじ)は、710年の平城遷都の際、現在の地に誕生し、1300年の時を重ねている。境内の北西に位置する北円堂 (ほくえんどう)は、創建者である藤原不比等 (ふじわらのふひと)の追善のために721年に建立されるも、1049年の火災、1180年の平氏による南都焼き討ちで二度にわたって焼失してしまう。復興には長い年月が費やされ、1210年頃に堂が完成、造像は氏長者近衛家実 (このえいえざね)の命により運慶一門が手がけ、1212年頃には北円堂諸仏が再興されている。

堂内に安置する仏像は、創建時にならい、弥勒如来をはじめとする9軀とされた。弥勒三尊像の両脇には、北インドで活躍し、法相宗の根幹となる唯識 (ゆいしき)思想を確立した無著 (むじゃく) ・世親 ( せしん)兄弟の像が控える。このとき完成した像のうち、今に伝わる弥勒如来像、無著・世親像の3軀は、力強さや写実性を持ち合わせつつ、静かな落ち着きに包まれており、ここに運慶が晩年に到達した境地を見ることができる。

また、このときの北円堂の四天王立像は長い間失われたものとされてきたが、現在中金堂に安置されている四天王立像がこれにあたるという説が近年支持を集めている。にぎやかな装飾、激しい表情の四天王立像は、弥勒如来像、無著・世親像とは雰囲気を異にするが、天平彫刻を基調としたその優れた造形から運慶一門の作とも考えられている。

運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える貴重な例である北円堂は通常非公開だが、弥勒如来坐像の修理完成を記念して、約60年ぶりの寺外公開が決定した。

本展では、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像に加えて、かつて北円堂に安置されていた可能性の高い四天王立像を合わせた7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる。国宝7軀のみで構成された奇跡ともいえる、至高の空間を堪能してほしい。