展覧会案内特別展「江戸☆大奥」
特別展「江戸☆大奥」
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楊洲周延筆『千代田の大奥』より「千代田大奥 御花見」
明治27年(1894)東京国立博物館蔵」
※会期中、展示替えあり
東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9tel.050-5541-8600(ハローダイヤル)
2025年7月19日(土) ~ 2025年9月21日(日)
※会期中、一部作品に展示替えあり
※月曜・7/22休館。ただし、7/21(月・祝)・8/11(月・祝)・9/15(月・祝)は開館
9:30~17:00
※金曜・土曜・7/20(日)・8/10(日)・9/14(日)は20:00まで
※いずれも入館は閉館の30分前まで
観覧料(当日):一般2,100円 大学生1,300円 高校生900円※前売りあり、スペシャルチケット(東京国立博物館正門チケット売り場での販売はなし)あり。詳細は公式サイトで
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳などを提示
※事前予約不要。混雑時は入場を待つ場合あり
※本券で、会期中観覧当日に限り、東博コレクション展(平常展)も観覧可能
※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生は、当日券1,100円(200円割引)。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証を提示
展覧会公式サイト:https://ooku2025.jp/
→ チケットプレゼント
大奥と聞いて思い浮かぶのは、絢爛豪華な衣装に身を包んだ才色兼備の女性たちが、江戸城奥深くで優雅に暮らす姿かもしれない。しかしその実像は、華やかなだけではなく、厳格な制度としきたりに支配された日々でもあった。本展では、そんな“大奥”の虚実を、多彩な資料と美術工芸品を通して立体的に描き出す。
大奥の礎を築いたのは、三代将軍家光の乳母・春日局。四代将軍家綱の時代に制度化され、将軍の正室や側室、女中たちが厳しい序列のもとに暮らす場として整えられていった。彼女たちは、徳川家の世継ぎを産み育てるという重責を背負い、時に権力を手にし、時に過酷な締め付けにさらされながらも、閉ざされた空間のなかで喜怒哀楽を享受していた。
本展では、そうした女性たちの実像を伝える数々の資料が紹介される。大きな見どころの一つとして挙げられるのは、大奥内部で演じられた歌舞伎に用いられた衣装の展示だろう。坂東三津五郎の弟子であり女性の歌舞伎役者として大奥に出入りした坂東三津江の逸話を通して、娯楽の一端を垣間見ることができる。また、草花や風景を繊細な刺繡であらわした搔取や小袖など、本来の武家女性の装いも見どころだ。とりわけ、五代将軍綱吉が側室・瑞春院に贈ったとされる、重要文化財・奈良興福院伝来の刺繡掛袱紗全31枚が一堂に公開される機会は貴重だ。
さらに、楊洲周延による錦絵『千代田の大奥』の全40場面を通して、庶民が憧れた大奥の生活が色鮮やかに再現される。さらには月光院に仕えた絵島や、家定付きの女中・瀧山といった、大奥を象徴する女性たちのゆかりの品々も展示され、ひとりひとりの人生に迫る構成となっている。
徳川将軍家という巨大な権力の傍らで生きた女性たち。その知られざる歴史と文化をひもとく本展は、大奥の実像を今あらためて問い直す、充実の内容となるだろう。