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展覧会案内Crossing Viewpoints −交差する輪郭− 荻野夕奈 × Iwasa 鈴奈

Crossing Viewpoints

−交差する輪郭−

荻野夕奈 × Iwasa 鈴奈

ギャラリー尾形

福岡市中央区赤坂2-4-3 シャトレ赤坂2F
tel.092-713-1835
2025年12月19日(金)〜2025年12月28日(日)
※月曜休廊
11:00~18:00
ギャラリー尾形ホームページ:
https://www.g-ogata.com/

荻野夕奈とIwasa鈴奈の二人展が開催される。
二人は、ともに身体、花、絵画と類似するキーワードを持ちながら、それぞれの視座は始点と帰着点を違え、ズレて交差し、協和音を奏でる。

■アーティスト・ステートメント
荻野夕奈
私が描く花や身体は、自然や個人の姿を起点にしながら、時間と記憶の堆積を可視化するための媒介です。筆を重ねるうちに、像は揺らぎ、ほどけはじめ、鮮やかな色や厚く塗られた筆致へと変容していきます。その画面は日々を描き残す空間として息づきはじめ、心の奥に残る微細な感覚や、過ぎ去った時間の余韻をも抱え込んでいきます。

油絵の具を重ね、削り、拭き取り、また描く―
その反復は、表象と非表象、存在と不在の間を往還する作業です。そこに立ち現れるものは、身体のジェンダー的規定や花の象徴性を超えた存在そのものを探る試みでもあります。

線や色の揺らぎには、私自身の身体感覚や呼吸が刻まれています。その複雑な痕跡のなかに、どのような「現在」があるのか―。私はその問いに視線を澄ませながら、目と筆を通して見続けています。
                                     Iwasa 鈴奈
初めは一本の線でした。
線の痕跡は蝶や風景、木や川や鉱石の模様などにもみえ、それらが連なり構成要素となり、あらたな「像」や物語が紡ぎ出されます。未知の「像」は伏線が絡みあった交差場面のように象徴的な意味合いを持ち、そこにミクロ的かつマクロ的視野のスケール自在の重層的な世界が見えることがあるのです。

枯れた葉が風景を作り、そこからまた新たに芽吹く。小さな花の中心部は鹿の頭部や新芽のようでもあり、花弁は山や平原にも見えます。うねる葉や広がる茎は湿地を生み出し、景色が生成される。一つの形態はマルチプル・イメージを持つのです。このように連想をたどりながら生み出された風景は、訪れたことがないけれど懐かしい、いわば私の手や身体の記憶の中の神話的風景とも言えます。